料理人の心得 ①道場六三郎 さん[銀座ろくさん亭]
【人の2倍働く、
人が3年かかって覚える
仕事をを1年で身につける】
-道場六三郎[銀座ろくさん亭]より
>道場六三郎さん
フジテレビの人気番組『料理の鉄人』の初代”和の鉄人”であり日本料理界、和食料理界における偉人であり今も89才でありながら厨房に立っている。
和食料理人でありながら西洋料理の食材や調理法を交え、型にとらわれない料理を特徴とし『日本料理界の異端児』とも称されていた。
(from Wikipedia)
道場六三郎 [ろくさん亭]2020年8月の厨房より。夏の前菜、御椀 崩し鱧、竹筒流し お宝色々、鱶ひれ茶碗蒸、糠鯖茶漬ほか。
海外で働いてみて毎回本当に思う事。
日本だとたくさんの良い食材が揃っているという事に限ります!
先ほどの動画でいうのなら
松茸 鱧
青銀杏 鱶ひれ など
あぁ、食べたい、食べた過ぎる…笑
この食材たちを見て尚更日本が恋しく思えました。
さて今回のBlogは偉大な料理人の名言を切り抜き
料理人における心得を僕なりに考えてみました!
【人の2倍働く、人が3年かかって覚える仕事を1年で身につける】
本格的な料理人において技術とはなくてはならないものです。
料理人における技術とは何なのか…
食材における知識、包丁さばき、縦社会の人間関係の作り方、調理法
などたくさんあります。
それらも踏まえて
技術とは 実践して得たものが技術になると思っています。
実践=その仕事に関われた、その仕事を成し遂げた密度
ここにおける密度とは時間ではありますが
時間における中身の濃さを意味しています。
それこそが道場六三郎さんの言葉の意味なのではないのかと思います。
これは現時点での僕の考えです。
例えば、鮨屋で考えてみましょう。
これは僕の先輩の経験談です(上手いように使ってくれと許可を頂きました)
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若い料理人が新米で仕事に就きました。でも10年は下積みです。賄い以外では一切鮨を握ることができません。
やっと下積み経験を10年耐えてさあ、お客様の前で握り始めよう……
…………すると全くもっていい年になっても握ることができません。
たとえ下積みの賄いの内で完璧に握れたとしても年齢30前後の板前がお客様の前ではビクビクしてしまい何もできずに親方から下げられ、カウンターの裏で今までと同じようにシャリを切ったり、ネタの下仕事をしたりしてその日を終えたようです。やっとの思いで板前に立ち、お客様の前で握れる自身もあり、できると思ったのにできなかったのです。ガン泣きしたと言っていました。結局、しっかり胸を張って鮨を握れたのはその日から半年後のことだったそうです。
どの状況下でも何度も実践でやっていることは早く綺麗に自然とできて当たり前です。
やることが同じでもその環境が初めてであればその仕事は初めてする仕事として扱われます。だからといって本番での失敗は許されるものではないので、いかに仕込みや下仕事の際に本番をイメージできるかが実践するにあたっての鍵になると思います。
お店によってはやり方、後輩指導や持ち場の管轄は違います。すべての鮨屋・和食料理屋がこのスタイルで仕事をしているわけではありません。
僕の経験は真逆です。
ホテルで働いてたということもあり早朝から深夜まで仕事をしている時もありました。
小さい声でしか言えませんが19時間……w
しかしその時間の中で和食における基盤にもなりうる
『雑用・下仕事・水場・漬場・前菜場・焼き場・炭場・揚場・煮方・刺場(花板)・鮨』
と早4年で全てにおいて教わることができ習得することができました。
ここで4年目のところで比べてみると技術において漠然とした差が生まれていることは間違いないです。
しかし前者後者にしてもメリットデメリットがあります。
簡単に言えば……
<前者>
メリット→その仕事を抱えるという大切さ、仕事の重さを実感できる。
※やりたいことを働きたい場所で仕事にできている、かつそこでしか経験できないものがたくさんあるという10年
デメリット→考え方によっては10年という無駄な時間。
<後者>
メリット→新しい経験を早く積むことができる。明確に仕事の幅が広がる。
デメリット→持ち場の重大さに気づけない。出来ると過信してしまう。
皆さんも感じ取れるのではないでしょうか?
どちらも間違いではありません。
前者にしても下積み経験の中で覚えることをするべき以上のことを行い、親方から認めてもらえれば10年というう数字が5年となったりします。
この状況下でも【人の2倍働く】という意識をもってすれば何事も時間を無駄にせず自身の時間となり早く新しい経験を積めるのです。
このことは料理人の世界だけではなく、どの仕事にも言えることでもあると思います。
こうして文字に起こしてみると、改めて僕自身何ができてまだ何ができないのかを知ることができましたし、いかにして今後の日本料理界をより良いものに変えていかねばいけないのか考えることができました。今の僕たちの世代が料理長や親方になったときに環境がより良いものになるように今をしっかり努めていかねばなりません。
何を言うかも大切ですが、誰が言うかが最も大切であり影響力があります。経験している人だからこそ語れることがありますし、『頑張る』という誰でもいえる一言もその人が言葉にすることで勢いと説得力があります。
今回は道場六三郎さんの言葉から僕なりに考えてみました。
これからもこのシリーズは続けていきたいと思います。
もし料理に興味がある!こういうの好き!という方は宜しければこれからも読んでいただけると幸いです。
【最近はまっていること】
90年代前半のj-popを聴いています。